アデノウイルスとは?

アデノウイルスとは?

鼻やのどから入って扁桃腺、気道に感染するウイルスです。主に夏に流行しますが一年中みられます。 

アデノウイルスは約50種類の血清型があり、それぞれの型によって症状が異なりますが、その中でも主に3型によるものは咽頭結膜熱(咽頭炎と結膜炎をおこすタイプ)といわれ、俗に“プール熱”と呼ばれているものです。また、主に8型によるものは流行性角結膜炎といわれ、俗に“はやり目”と呼ばれているものです。

 その他、扁桃炎や胃腸炎、出血性膀胱炎などをおこす型もあります。

新生児期や乳児期早期には比較的少なく、乳児後期、幼児、学童に多くみられる傾向があります。

 

感染経路は?

唾液などの飛沫、あるいは涙・鼻水などの分泌物との接触、糞便による糞口感染によって感染します。

 

潜伏期間は?

 57日間

 

症状は?

熱意外の症状はあまり目立たず、3940℃に及ぶ高熱が3〜5日間続きます。扁桃に白い膿のようなものがつくこともあり、胃腸炎をおこすタイプでは下痢になることもあります。しかし、熱が続いても解熱剤などで熱が下がっているときには、けろっと元気になっているのも特徴のひとつです。

アデノの喉と結膜炎です。写真をクリックすると拡大します。

診断は?

鼻から細い綿棒を入れて鼻汁を採取し、アデノウイルスの迅速診断を行います。結膜炎の場合は涙で検査を行う場合もあります。検査結果は約15分でわかります。ただし、病気の初期には迅速診断で陰性と出てしまうことがあり、疑わしいときには1日おいて再検査することもあります。


治療は?

ウイルスの感染症なので、抗生剤(細菌にしか効きません)は無効です。残念ながら有効な抗ウイルス剤はありません(抗ウイルス薬があるのはインフルエンザウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルスだけです)。高熱が続きますが、水分が取れていて、尿もきちんと出ていれば大きな心配はいりません。


自宅できをつけることは?

感染力が強いので、家族の間でタオルや食器の共用はさけましょう。唾液や鼻水、涙などの分泌物でうつりますので注意しましょう。

アデノウイルスは5530分の加熱で失活します。また、金属以外は次亜塩素酸Na(キッチンハイターなど漂白剤)への2時間浸け置き、残留塩素濃度の水質基準0.4ppm以上で消毒できます。

高熱が続きますが比較的元気ですので、疲れない程度の入浴はかまいません。だだし、お風呂でもうつりますので一番最後に入り、タオルの共用はさけましょう。

 

出席停止対象の病型

アデノウイルスが原因の病気のうち「咽頭結膜熱(プール熱)」と「流行性角結膜炎」だけは学校伝染病として出席停止の基準が定められております。

“学校にいっていい”=“人に移さない”ではありませんので誤解のないようご理解下さい。ウイルス排泄は、発症3日前から眼・のどからは2週間、糞便へは3〜4週間と長期にわたりますので、出席停止で感染を予防することは現実的には無理なのですが、咽頭結膜熱(主にアデノ3型)と流行性角結膜炎(主に8型)は主要症状消退後2日を経過するまで出席停止となっております。(感染力が強い時期のみお休みということなのでしょう)。

その他のアデノウイルスであれば、基本的には熱が下がって一日程度経過をみて元気であれば集団生活にもどってよいでしょう。

現実的には無理ですが、もしも完璧に人にうつしたくない人は1ヶ月間はお休み、完璧に感染をさけたい保育園・幼稚園の管理者は、そのお子さんを1ヶ月間は登園禁止にしないと意味がありません。