臍ヘルニア(いわゆるでべそ)
臍ヘルニア(いわゆるでべそ)は、3、4ヶ月は大きくなる傾向がありますが、この疾患はほとんどが自然治癒すること、鼠径ヘルニアと違い嵌屯(腸が飛び出たままもとにもどらないこと)が稀であることから早期治療の必要はなく、寝返りを始める生後4ヶ月頃に縮小が始まり、だいたい6ヶ月までに90%治癒、1歳で95%治癒するため、従来は放置されてきました。しかし、放置例のなかには大きくなる例がある、自然治癒しない例がある、自然治癒しても過剰皮膚が気になることがあるため、最近は「スポンジ(綿球)圧迫法」を用いて積極的に治療する場合も有ります。
スポンジ(綿球)圧迫法とは
直径7~10mm程度の綿球(またはスポンジ)を臍ヘルニアの部にあて、臍ヘルニアをへこませ、臍の両側の皮膚を中央にたぐりよせ絆創膏で固定します。さらにサージカルテープ(フィルム)で覆います。こうして48週間固定しておくと臍ヘルニアが治ります。
スポンジ圧迫法で使用するものは,スポンジ(ニチバン社製 Elaston No.125 5,000円前後)とフィルム(3M社製 テガダーム 6×7cm大 20枚入りで2,000円弱)です。
ただ、このamazonで売っているスポンジは5枚セットしかなく、こんなに必要ありません。1枚あれば十分です。
最近、amazonでこんな便利なセットを売っていることに気づきました。
使ったことが無いので効果のほどはわかりません。3回分で3,399円もします。
生後8週までに綿球圧迫法を開始した場合には、それ以後に開始した場合に比べ、治癒率が高くなります。「臍は早いうちに押さえる!」のがポイントです。
綿球圧迫法開始後、8週間以内に60%が治癒します。治療開始が遅れた例では治癒までの期間が長くなりますが、ほとんどの例が治癒します。
綿球圧迫法で効果が上がらない、うまくいかないのは
■皮膚が絆創膏でかぶれてしまって圧迫を継続できない場合
■皮膚の可動性が大きくて絆創膏で固定しても臍を十分に圧迫できない場合
などです。
皮膚がかぶれた場合には絆創膏の位置を変えて固定し、ステロイド軟膏を塗布すると、治療を継続することができます。圧迫を一日休むと一週間の効果がフイになってしまうので、圧迫を休まずに行うことがポイントです。
スポンジ圧迫法の治療期間は 29~279 日(平均 79 日)といわれています。 治療期間が 2 ヶ月間で 70%、3 ヶ月間で 90%が改善するといわれています。 無治療経過観察した場合に自然治癒が認められるのは、生後約 8 ヵ月です。 このことからスポンジ圧迫法は自然治癒を促す効果があるといえるでしょう。
スポンジ圧迫法は自然治癒を促す治療法ですので、自然治癒が望めない場合手術適応があ るといえます。いつ頃までに自然治癒が期待できるかについては意見が分かれますが、2歳以上は自然治癒が望めないと考え、小児外科への紹介受診を提案させていただきます。
臍ヘルニア 圧迫療法
■はじめに
臍ヘルニアとは、いわゆる「でべそ」のことです。この治療法として、昔はテープにより左右の皮膚を寄せてヘルニアが出ないようにする方法がありました。この方法は確かにヘルニアを早期に治す効果がありましたが、昔のテープや粘着剤の粗悪さから、皮膚炎を起こすことが多く、徐々に行われなくなりました。
もともとこの疾患は、生後3ヶ月頃に「でべそ」の程度が一番強く、その後徐々に小さくなり、1歳頃までには約80%が自然に治ることが分かっていました。また、そけいヘルニア(脱腸)のような嵌頓を起こすことはほとんどないことから、1歳まではそのまま何もしないで経過をみて、自然閉鎖しない場合や閉鎖はしたが余剰皮膚のために醜形をきたす場合は、手術を行うようになりました。
しかし、経過観察中に他人から「でべそ」の存在をしてきされるなど両親の精神的負担が大きいことや、ヘルニアの増大により「おへそ」が膨隆し、皮膚にたるみが生じ、そのため自然治癒後に「おへそ」の醜形を残すこと、さらにその醜形に対して美容的観点から手術をようするなど多くの問題がありました。そこで「おへそ」に醜形を残さず、早期に自然治癒を促すことを目的に、早い時期からスポンジ圧迫による保存的治療法を行うようになりました。
■準備
スポンジ(ニチバン社製Elaston No.125)
フィルム(3M社製テガダーム 6×7cm大) ※ともにアマゾンや薬局等で購入できます。 ※テガダーム®は長辺 5cm 大程度の大きさに切って使用します。
■方法
スポンジ圧迫法で使用するものは、スポンジ(ニチバン社製Elaston No.125)とフィルム(3M社製テガダーム 6×7cm大)です。Elastonは片面に接着剤がついたスポンジシートで、「おへそ」の陥凹の大きさに切って使用します。テガダームは外からの水分は通さず、内側からの汗などは放散させる特徴を持つ透明なフィルムで、皮膚に付着させる片面に接着剤が付いています。適当な大きさに切ったElastonをテガダームの中央に接着剤同士を合わせるように貼り付けます。
脱出したヘルニア内容を還納させた後、Elastonを「おへそ」に押し当て圧迫しながらテガダームを貼ります。このときしわができないように十分注意します。しわがなくテガダームを貼ることができれば、その後入浴しても全く問題ありません。
この方法は、原則として自宅で母親が行います。自宅では3日毎にElastonとテガダームを交換します。毎日お風呂に入りますが、3日目の交換時は入浴前にフィルムをはずし、「おへそ」をきれいに洗います。皮膚がかぶれた場合には、ステロイド軟膏を塗布すると、治療を継続することができます。圧迫を一日休むと1週間の効果がふいになってしまうので、圧迫を休まずに行うことがポイントです。
スポンジ圧迫法による治療効果は、治療開始後1週間ほどで現れます。まず、「おへそ」の膨らみが平らになり、皮膚が少し黒く、硬くなってきます。こうなると治りつつある証拠です。多くの場合は2ヶ月で自然な形態で治ります。
スポンジ圧迫法の治療期間は 29~279 日(平均 79 日)といわれています。 治療期間が 2 ヶ月間で 70%、3 ヶ月間で 90%が改善するといわれています。 無治療経過観察した場合に自然治癒が認められるのは、生後約 8 ヵ月です。 このことからスポンジ圧迫法は自然治癒を促す効果があるといえるでしょう。
スポンジ圧迫法は自然治癒を促す治療法ですので、自然治癒が望めない場合手術適応があ るといえます。いつ頃までに自然治癒が期待できるかについては意見が分かれますが、2歳以上は自然治癒が望めないと考え、小児外科への紹介受診を提案させていただきます。
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