みずぼうそう&おたふくかぜの予防接種は任意接種だからうけなくていいと誤った解釈をしているお母様がおられるようですし、「かかったほうがいい」と、とんでもないうわさを信じて予防接種をしない恐ろしいお母様がいまだにおられるようです。かかったら怖いからワクチンが開発されたのです。
みずぼうそう&おたふくかぜの怖さを知って、是非、お子さんにワクチン接種してあげて下さい。
1歳になってMR(麻疹風疹混合ワクチン)との同時接種がおすすめです。
水痘の発疹です。写真をクリックすると拡大します。
水痘とは?
水痘・帯状疱疹ウイルスというウイルスによる発疹症です。
ウイルスは飛んできた咳や唾液などからのどに入り、症状を起こします。潜伏期間(ウイルスが病気を起こす前に体の中でくすぶっている期間のこと)は約2週間ですので、水痘の人と接触して約2週間で発症します。
症状は?
軽いカゼ症状のあとに、水をもった赤い発疹(水泡)が、顔面・体などに2~3個出始め、翌日には全身に広がります。多くはかゆみを伴います。発疹は破れたりつぶれたりしながらかさぶたになっていきます。ときに38℃前後の発熱を伴います。発疹は約1週間で全てかさぶたになります。発疹の痕は数週~数ヶ月残り、消えます。
治療は?
ゾビラックスという抗ウイルス薬を内服し、水痘部に処方された軟膏を塗布します。かゆみの強いときはかゆみ止めも一緒に内服し、とびひがあるときは、抗生剤の内服を行います。
水泡が全てかさぶたになったら集団生活に戻ってかまいません。
もう一度病院に来たほうがよいのはどんなとき?
水痘の可能性があると診断された後、以下のような状態になったときは、点滴や入院が必要になる可能性がありますので、早めに外来を再診してください。
・高熱が出て下がらず、ぐったりして、顔色が悪いとき。
・水痘疹が化膿して、周りに赤みが広がってたとき。
・熱とともに咳が増えてきたとき。
・その他、いつもと様子が違うとき。
急性小脳失調症(1/4000例)髄膜脳炎(1/4000例)
自宅で気を付けることは?
皮膚の清潔を保つことが大切です。高い熱がなければ(38℃代前半くらいまで)シャワー浴を毎日行い、こすり過ぎないようにセッケンできれいにしてあげましょう。出されたお薬は途中でやめず、必ず最後まで飲みきりましょう。
予防法は?
一番有効な予防法は予防接種です。
予防効果は90%、重症化は100%防御するといわれています。
水痘の予防接種をしておくと、帯状疱疹になりにくい、または帯状疱疹になっても症状が軽くなるといわれています。
水痘患者に接触後3日以内に水痘ワクチンを緊急に接種すれば発病を回避できる場合があります。ただ、流行中には接触の正確な日時を特定することは困難なことが多いです。
水痘の薬を潜伏期後半に内服させると水痘の発症を予防する方法もありますが、水痘に対する抵抗力がつかない可能性があるので、そのときは免れても、その後かかる可能性があります。(抗体陽性率は69~86%)
みずぼうそうはウイルス性の病気で、一度発症して治ってしまうと一生感染しません。ところが、そのときのウイルスは死んでしまったのでなく、身体の中の神経節に潜り込むのです。このウイルスが、病気などで抵抗力が弱くなったときや疲れたとき、あるいは歳をとったことにより再び活動を始めることがあります。これが皮膚の病気「帯状疱疹」です。
ところが、みずぼうそうワクチンをうっておくと、みずぼうそうウイルスをやっつける抗体(敵をやっつける兵隊さんのようなもの)が体の中につくられます。この抗体がウイルスをやっつけてくれるので、みずぼうそうのウイルスが体の中に入ってきても、ウイルスは体の中でほとんど増殖できないので、みずぼうそうの症状もでないし神経節にも潜むことができないのです。神経に潜むことができなければ当然、帯状疱疹は発症しません。
~ 帯状疱疹とは? ~
帯状疱疹は神経の通っている部分に、それも身体の左右どちらかに帯のように現れます。はじめはピリピリチクチクした痛みから始まり、しばらくするとその部分が赤くなり、やがて水ぶくれになって神経痛のような激しい痛みをともないます。
いちばん多いのは肋間(ろっかん)神経のある胸から背中にかけてです。顔面にある三叉(さんさ)神経に沿って現れる場合は、失明や顔面神経麻痺をともなうこともあるので特に注意が必要です。この他、下腹部、腕、足、おしりの下などにも現れます。痛みが始まってから水ぶくれが治るまでの間は、通常約3週間~1ヵ月です。痛みは水ぶくれが治る頃に消えますが、治った後も長期間にわたってしつこく痛むことがあります。これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、高齢者に多いものです。
水痘は小児の軽症疾患とあなどられがちですが、生ワクチンが開発されている麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘の中で、
近年最も死亡報告が多いのが水痘です。
また、妊娠20週以前に妊婦が水痘を発症すると約2%の新生児に
先天性水痘症候群(精神発達遅滞、網脈絡膜炎、皮膚瘢痕、四肢低形成、低出生体重児)
が発生する可能性があること、出産直前・直後の女性が水痘を発症すると、出生児がきわめて重症の水痘を発症することから、先天性および新生児期の水痘を予防することも目的の一つにあげられます。
麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘のなかで発症すると最も重症な麻疹は、ワクチン接種率の上昇により患者数が激減しており、それに伴って死亡数も着実に減少しているのに対し、水痘はワクチンが国内で市販されて既に20年以上が経過しているものの、定期接種に導入されていないことなどから就学前の接種率は20~30%程度と低く、毎年大規模な流行を繰り返し、死亡例がかわらず発生していることがわかります。
毎年約100万人の患者が発生し、約4000人程度が重症化により入院していると推計されています。