第二次性徴の乳房のしこり~胸を押すと痛む

小学生から高校生くらいの子どもの胸にしこりができ、押すと痛むことがある。女子だけでなく、男子にもよく起こる。病気の心配はないのだろうか?

 

◇病気の心配ほぼない

 成長期にできる胸のしこりのほとんどが、第二次性徴に伴う乳腺の発達によるものです。乳腺は乳房の内側にある管状の器官で、女性では母乳を分泌する役割があります。一般に女子は10歳前後から乳房の発達が始まりますが、人によって乳房が膨らんでから乳腺が発達する場合と、乳腺が先に発達してから乳房が膨らむ場合とがあります。

だいたい半々の割合ですが、後者の場合にしこり(発達した乳腺)が目立って気付きやすく、病気を心配して受診される方が多いです。

 乳腺の発達は早ければ7~8歳から、通常は左右のいずれかから始まり、やがて両側に起こります。しこりは3~5年程度はなくならないことが多いです。

 乳がんなどを疑って心配になる保護者もいますが、その可能性は極めて低いといええます。

また、乳腺のしこりはゴムのように弾力のある感触だが、乳がんなどの腫瘍は石のような硬さである場合が多いです。まれに毛穴から侵入した細菌が乳房の皮下脂肪に炎症を起こして痛むというケースもあるため、その場合は小児科や皮膚科を受診してください。

 ◇男子にもよく起こる

 母乳をつくる働きはありませんが、乳腺は男性にもあります。思春期になると、男性も女性ホルモンの分泌量が増える影響で乳腺が発達します。そのため、男子でも思春期に胸のしこりや痛みが出るケースは実はかなりの数に上ります。「正確なデータはありませんが、7~8割の男子が経験するのではないでしょうか。ただ、中学生くらいだと周りの子たちと『胸が痛い』『なんだ、お前もか』と話し合い、気にせずに済むことも多いようです。ほとんどの場合は一時的なもので、思春期が終わるとともになくなっていくので心配ありません」